CERD代表より

大分大学減災・復興デザイン教育研究センター(CERD)代表

小林 祐司 博士(工学)

所  属:大分大学理工学部 准教授
専門分野:都市計画・都市防災・防災教育
所属学会:日本都市計画学会,地域安全学会,日本災害情報学会,日本災害復興学会,地理情報システム学会など


 ここ九州大分は,南海トラフ巨大地震による地震及び津波被害が懸念されています。過去幾度も津波に襲われた東北地方でさえ,あのような甚大な被害が発生しています。我々は,地震,津波,風水害などの自然からの驚異(Hazard)に対して,いかに脆弱性を克服するが問われています。この脆弱性を最小化,極小化することで被害を軽減することができます。これは危機管理の基本的な考え方であり,減災の考え方も同様です。
 このためには,災害に対する正しい知識とどういう行動を取るべきなのかなど,様々な視点からの教育やそれを支えるための研究が必要になります。調査,教育,研究の積み重ね,取組の継続が極めて重要であり,いつくるかわからない災害に対して向き合うには,その地域独自の「災害文化」を全ての人が一体となって築き上げていくことが求められます。
 学校,家庭,地域が強く連携すること,行政との信頼関係を構築すること,多くの主体が連携していくことなど,安全・安心社会の実現のためにはクリアすべき課題が多くあります。我々はこの仕組みを「おおいた減災コミュニティ」と呼ぶことにします。このコミュニティをより強固なものにし,様々な災害に立ち向かい,そして次の世代へその意識や経験を引き継いでいくことが求められています。
 この度,大分大学認定研究チーム(BURST)として「大分大学減災・復興デザイン教育研究センター【CERD】」が認定されました。(※認定期間はH29.6〜H32.3までで,期限付きのセンターとなります。)これまでの,また今後の研究リソースを地域へ還元する取り組みを文理融合,分野横断の考え方のもとに活動を推進していきます。
 本プロジェクトの大きな柱は二つあります。
 まず「防災教育・リスクマネジメントユニット」。これは従来の防災教育や地域での活動支援を継続的に実施します。私自身,常々「防災・減災が実現できないのは人の問題」と訴えてきています。無理だと諦めていることはないか?これまでできなかったことを実現するのが今求められている防災・減災です。加えて,防災・減災のヒントは日常生活のなかにある=「防災・減災の日常化」も訴えてきました。あらためて身近な環境を見直せる(改善できる)ような取組を推進してきます。そして,コミュニティの観点からも防災・減災対策は「地域に立脚する」ことが求められ,地域的な課題を把握しながらオーダーメイドな対策を支援していきます。
 次に「復興デザインユニット」。これは,被災を想定して次のまちづくりのあり方を事前に検討する取組であり,「事前復興」とも呼ばれます。この復興デザインを進めるためには,平時のまちづくりや地域課題をどう克服していくかも重要なテーマになります。したがって,平時のまちづくりそのものも,リスクマネジメントの一貫であると言えます。平時から被災を想定し,その後のまちの復旧・復興をどう進めていくのか。被災をしてからの検討は困難を極めます。これを事前に住民の皆さん,行政,各主体と連携し,新しいまちのビジョンをデザインし,共有する。今を生きる大人達が責任を持って関わり,少しずつでも進めておくことが求められています。あわせて,これらの取組を推進する上で不可欠な地理空間情報(空間データ)の構築と共有も進めます。
 このように,教育・研究が中心のプロジェクトではありますが,これらの取組は「地域貢献」そのものとも言えます。そこでこれらの取組を踏まえて,支援メニューとして「災害調査・技術支援」と「防災教育・活動の支援」を設定しています。このような取組を通じ,地域社会を支える人材育成や技術者養成も図られます。
 
 防災・減災に取り組むことは,教育上の効果,なかでも「命を守る」「命を大切にする」といった人としての根本的な教育的効果もあると言われています。アインシュタインは次のように述べています。
 
「学校で学んだことを一切忘れてしまった後になお残っているもの,それが教育(教養)である。そして,その力を社会が直面する諸問題の解決に役立たせるべく,考え行動できる人間を育てること。それが教育の目的といえよう。」
 

 防災・減災はここで言う「教育(教養)」に相応しい取組であり,共に生きる力を与え,地域を支える人材育成=「ひとづくり」でもあります。このような取組に対して,地域の拠点としての大学が果たすべき役割・責任は大きいと考えています。これらを実現するために,様々な主体間の連携を図りつつ,本プロジェクトを持続的に実施してまいります。

防災・減災は
「為せば成る,為さねば成らぬ何事も,成らぬは人の為さぬなりけり」(上杉鷹山公)
・・・ではないでしょうか。

 

※写真は大分合同新聞社様よりご提供頂いたものです。無断転用・転載はご遠慮下さい。